「どれぐらい動く」かより「どう動く」か
運動は様々な側面がある
運動をするというと、どのくらい動けばいいのかということを目安にしがちですが、こればかりに目がいってしまうと本質を見失ってしまいます。
「どれくらい動く」と「どう動く」の違いは運動というものをどう見るかという目線の違いです。
筋肉視点の運動
「どれくらい」というのは筋肉の視点から見た場合です。
ですので何分歩いたら何キロカロリーとかいうことを気にするのです。
そうなるとカロリー数を多く消費する方がいい運動をするということになり、大きい筋肉を動かしたり、辛いことをすることの方がいいとされてきます。
筋肉は太く大きくなった方がいいということになってきます。
「運動は辛いから嫌!」とか「運動すると筋肉が太くなるから嫌!」という方もいますよね。
これが筋肉という視点から見た運動です。
脳視点の運動
これに対して、「どう」というのは質であり順序です。
これは神経系から見た視点です。
運動は脳にとっても必要で、運動によって筋肉、関節、皮膚、血管に刺激が入ります。
その刺激が脳を活性化します。
脳にとって良い刺激とは、様々な部位からバランスよく刺激が入ってくることです。
大きい筋肉はパワーは出しますがセンサーの数が少なく、脳に入ってくる刺激は少なくなります。
しかし、首や骨盤、足底などの小さい筋肉はセンサーの数が多いために脳に多くの刺激を送ります。
頭と首の境目にある、後頭下筋群には筋組織1gあたり36個のセンサーがありますが、大殿筋では1gあたり0.7個しかありません。
また、背骨や骨盤、足などは小さい関節が集まっていますので、その周りの筋肉が動かなくなり関節が硬くなると関節からの刺激が入ってこなくなります。
脳に入ってくる刺激の90%は背骨の動きから生じると言われています。
脳から見るとどれくらい動くかよりも繊細に動いてくれた方がいいのです。
また、脳はパターンを認識する装置です。
ですので、どの順番で筋肉が動いているかということが大切です。
つまり、フォームですね。
フォームが美しいと感じるのは、そこに流れがあるからで筋肉としても無理のない順番で動いているということです。
この順序をファイアリングシークエンスといいこれが正しく働かないと、筋肉には無理な力がかかるようになります。
脳神経系から見ると良い運動とは、無理なく心地よいエネルギー効率の良い動きということになります。
そうするとカロリーを消費することや時間を目的にすると、体に無理をかけることになり、いつかは体を壊します。
そうではなく、基準を自分に持って、自分が気持ちいいと感じる走り方やいつもよりも楽に歩ける姿勢をとってください。
スポーツでフォームを直してもらったら前よりも楽に動けるようになったとか、力みが抜けるようになったとかいうことはあると思います。
体はいいポジションになると心地よさを与え「正解です」と教えてくれます。
より楽に、より力みなく、より気持ち良くを探しながら動けば、それは脳にとってもいいことなのです。
運動は量よりも質です。
ですので、時間が確保できなくても通勤時間や日常動作でも十分なのです。
時間がないは理由になりません。