腰痛にもパターンがある

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腰痛にもパターンがある

下位交差症候群(Lower cross syndrome)

前回、上位交差症候群についてお話ししましたが、似たようなもので下位交差症候群(Lower cross syndrome)というものがあります。

下位交差症候群は腰痛の方によく見られます。

弱化のパターン

ここで弱化を起こすのは腹筋と大殿筋です。

参照:脊柱のリハビリテーション

腹筋(特に腹直筋)が弱化すると鳩尾と恥骨(膀胱の下あたり)の距離が離れるように働きますので骨盤は前傾します。

大殿筋(お尻の筋肉)が弱化すると骨盤のバランスが崩れたり、股関節を後ろに引く動作ができにくくなりますので歩幅の減少などが起こります。

過緊張のパターン

過緊張するのは背骨の横についている脊柱起立筋と腰の骨と骨盤の前にある腸腰筋です。

これら筋肉が過緊張を起こすと腰に圧迫する力が加わりますので椎間板に負担がかかり放置すると椎間板ヘルニアになりやすくなったりします。

腰の関節にも負荷がかかりますので反ると痛い、仰向けで寝ると痛いなどがある場合はこの辺りの過緊張が考えられます。

レイヤー症候群

 

そして、上位交差症候群、下位交差症候群の二つが組み合わさったものをレイヤー(層)症候群と言います。

参照:脊柱のリハビリテーション

 

この斜線で示すところが過緊張、白い部分が弱化でこれらが層(レイヤー)になっているためにこう呼ばれます。

 

この状態になると筋肉一つ一つの問題ではなく筋肉を管理している大元の延髄や脳の問題になってきますので脳に対するアプローチが必要となってきます。

人間らしさは脆弱さがある

さて、このようなパターンが出るのは筋肉には緊張性のものと弱化しやすい(相動性)のものがあるからです。

相動性のものは進化の過程で四つ足動物から二足歩行になるに従って発達してきたものです。よって非常に弱く、高度な制御が必要になってくるのです。

 

脳の場合でも奥に行くに従って生命維持に欠かせないものを制御しており、これらは鳥や爬虫類などにもみられます。表面の大脳新皮質というのは言葉や思考など人間らしさとなる高度な制御している部分で、哺乳類で発達し特に人間は大きく発達しています。

生まれたばかりの赤ちゃんを思い浮かべてもらえばわかると思うのですが、手足は屈曲し背中は丸くなっています。まだ四つ足動物の名残が強く残っています。

そして、成長するとともに大脳が発達することで、姿勢を伸ばし二足歩行ができるようになります。

直立二足歩行をするためには肩甲骨が下がり腹筋が発達し骨盤の傾斜角度が変化し、股関節を伸ばせるようになる必要があります。そのためには相動性の筋肉が発達する必要があるのです。

年をとって大脳の働きが落ちてくると同じように手足は屈曲してくるのです。

姿勢は脳の機能の現れ

つまり姿勢というのは脳の機能の現れなのです。

私たちはストレスが溜まったり、落ち込んだりすると姿勢が悪くなってきます。

これらは脳の影響であり、その姿勢を続けることでより脳は機能低下を起こします。

脳を活性化させる刺激の90%は身体の動きによるものです。

不良姿勢は活発に動く筋肉や関節と、動かない筋肉や関節の偏りが生じます。それが身体からの刺激量を減らし、脳の機能を低下させます。

そして活動量の低下は脳への刺激量の低下を招きます。

ご高齢の方では長期の入院などで、認知機能に影響が出ることも多々あります。

逆に言えばいい姿勢を保てば脳は活性化し、人間らしさ、自分をコントロールする力が発揮されるのです。

自律神経が乱れた方や、うつ病の方で姿勢がいい方はいません。

自律神経や心をコントロールするのは難しいですが姿勢や筋肉をコントロールすることはできます

意識的に良い姿勢を保ち、その姿勢で動くことが脳を介して姿勢を改善させることとなります。

悪い姿勢が脳の機能低下をうみ、脳の機能低下がさらに悪い姿勢を促進させるといった悪循環が起こります。

そうならないためにも早めから悪い姿勢に対する対策を打つことが大切になります。