自律神経②
成長は内側から外側へ
前回のお話では自律神経は層になっているといいました。
これは私たちの進化と関係があります。
脳は生命維持に必要な部分が中心の奥の方にあり外側にいくに従って思考や細かい運動コントロールといった人間らしさが出てきます。
参照:プロメテウス解剖学アトラスより
私たちの脳はより上位(中心から外側に向かって)の部分が発達すると、下位の部分を抑制または制御できるようになります。
子供の脳の発達からわかること
子供の発達から見ていきましょう。
子供は生まれたばかりの頃様々な機能が未完成のまま生まれます。他の動物に比べても自立するまでの時間が遥に長いのです。
脳も大人ほど機能はしていなくてカオスな状態です。
生まれたばかりは原始反射と言われる赤ちゃん特有の反射があります。手に触れるとギュッと握ったり、背骨の脇をなぞると体を捩ったり様々です。これは産道から出てくる時の助けをしたり、お母さんに捕まったりするために必要です。
これらの反射は赤ちゃんが成長し脳が発達するに従って出なくなってきます。これを統合と呼びますが上位の脳が下位を抑制したのです。これが起こることで上位の脳が発達することができます。この統合が適切な時期にうまく起きていないとその後脳の発達に影響が出てくるために、子供の定期検診で検査をして適切に発達しているかの目安になるのです。
では、統合が起こるためにはどうしたらいいのかというと、適切な刺激が脳に十分伝わったら次のステップの上位の脳が発達できるのです。上記の背骨の脇の反射は生後3-4ヶ月で統合されますが、赤ちゃんが仰向けで寝て動いたりすることで、ベッドとの刺激が脳に伝わるのです。
成長した外側が内側を制御する
この原始反射は出なくなったからといって、なくなったわけではなくて上位の脳に抑制されている状態です。
ですので、大人になって何かのきっかけで上位の脳の機能が低下した場合、抑制が外れて出てきてしまうということがあるのです。
脳の機能が低下するきっかけは色々ありますが、長期の精神的ストレスや脳への刺激の低下、つまり運動不足(ここでいう運動不足はエクササイズというより動くことが少なくなること)が大きい要因を占めます。
前回お話した副交感神経が交感神経を抑制しているといったことは、副交感神経の方が脳の中ではより上位にありますので副交感神経の働きが弱くなると、交感神経の抑制が外れて暴走を止められないということです。
私たちの身体は適切なタイミングで、適切な量だけ働くことが重要です。ストレス下にあるときには交感神経が働かなければなりませんし、そのストレス下から解放された時には副交感神経が働いて身体を回復しなけらばなりません。
長期にわたるストレスで交感神経が暴走し続けると、回復の時間がないために私たちの体内のエネルギーは枯渇していきます。
そうすると私たちの身体は次のフェーズに入っていきます。
次回はそのお話をいたします。