動かないことによる悪影響
動かないと悪影響が大きい
前回のブログでは長期の床上安静があまり効果ないばかりか、固定による悪影響があるとお話ししました。
固定とは全く動かない状態なのでそのような状態はなかなかないかと思いますが、動かないということが体にどのような影響を及ぼすのか見てみましょう。
最初は痛みによって動かさないということから始まります。(慢性的な運動不足も少なからずこれに当てはまります)
動かない環境への適応
人間は適応能力が高いので、動かないことへ順応してきます。
関節を包んでいる関節包は縮小してきます。そうすると関節内部の圧縮負荷が増え、関節軟骨の変形が起こります。
それが炎症を起こしたり、微小な損傷が起こるようになり、さらに痛みを強くします。
そしてもっと動かさないという負のスパイラルに陥るのです。
これは関節からみた悪影響の流れです。
各部位に対する固定の影響は
関節
- 関節包の縮小
- 圧縮負荷の増加
- 関節拘縮につながる
- 関節周囲の繊維の増加
- 固定8週間後には変化が不可逆的になる
靭帯
- 細くなり、もろくなる
骨
- 骨密度の低下
筋
- 筋肉が細くなりもろくなる
- ミトコンドリア含有量の減少により運動時に効率の良いエネルギーを生み出せない
- 結合組織線維の増加により筋膜が癒着を起こす
- 週に20%の筋力低下
これらに加え、脳にも影響を及ぼします。
インプットが減り、刺激が偏ることによって脳の機能は低下し、自律神経失調、抑うつ状態、痛みを過剰に感じるなどの状態が起こります。
そうなるとさらに動くことに抵抗が出るようになります。
高齢者では要介護になる要因として、一番多いのは認知症ですが、認知症になる要因として最も多いのは筋骨格系障害により、痛みなどで動けなくなることです。
認知症というのは脳の問題と考えがちですが、脳は身体を動かすことによって機能を保っています。
動かなくなることは認知症や他の脳の問題のリスクを高めるのです。
これらのループにはまって、変形や組織の変化などが起こってしまうと治るのがかなり時間かかるようになります。
ですので、痛いのを我慢するよりも早めに対処を行い積極的に動いていくことが回復していく近道なのです。