副腎

糖質コルチコイド

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糖質コルチコイドは副腎皮質の束状層で合成されます。

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参照:標準生理学 第4版より

糖代謝に影響を与えるホルモンのため糖質コルチコイドと呼ばれるが、主なものはコルチゾールとコルチコステロンであり、そのうち95%をコルチゾールが占め、4%がコルチコステロンである。

ここではコルチゾールについて説明していきます。

 

[分泌調整]

糖質コルチコイドは下垂体前葉から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)によって分泌されます。

ACTHは視床下部の副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)によって分泌されます。

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図:コルチゾールの分泌経路

糖質コルチコイドは視床下部や下垂体前葉に作用し、CRHやACTHの分泌を抑制する。

つまり、血中の糖質コルチコイドが増えてくると、その分泌をやめるように視床下部や下垂体に対して働くのです。これをネガティブフィードバックといいます。

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図:ネガティブフィードバック

しかし、慢性的にストレスがかかっていると視床下部の糖質コルチコイド受容体が減少するため、血中の糖質コルチコイドが増えてもネガティブフィードバックがかからず糖質コルチコイドは分泌され続けます。

 

[コルチゾールの作用]

1.物質代謝に対する作用

肝臓での糖代謝を促進し、血糖値を上昇させる。たんぱく質や脂肪の分解を促進する。

2.抗炎症、抗アレルギー作用

胸腺やリンパ組織を萎縮し、炎症やアレルギーを抑える。コルチゾールは局所におけるヒスタミン放出を抑制して毛細血管の拡張を抑え、リソソーム膜を安定化してタンパク分解酵素の分泌を抑える。しかし同時に白血球の遊走を抑制し、リンパ球を減少させて抗体産生能力を低下させるため、細菌の増殖は容易になる。

3.電解質代謝

腎臓の尿細管に作用してNa再吸収を増大させ、K排泄を促す。その作用はアルドステロンの1/400だがコルチゾールの血中濃度はアルドステロンの約200倍と高いため生理条件下では糖質コルチコイドも電解質代謝にかなり関与している。

3.許容作用

カテコールアミンの脂肪分解効果や血圧上昇作用などの発現にはコルチゾールが少量必要である。コルチゾールが欠乏すると血管が拡張し、体液の損失がなくても血圧が下降する。血管感受性が低下するからである。

4.胃に対する作用

胃酸及びペプシンの分泌を促進し、粘液分泌を抑制する。そのためコルチゾールの分泌が長期間増加すると胃潰瘍を起こしやすい。

5.骨・Ca代謝

糖質コルチコイドが過剰に存在するとビタミンDと拮抗して腸管からのCaイオン吸収を阻害するとともに腎尿細管におけるCaイオン再吸収を抑制する。その結果、副甲状腺の機能が亢進し骨吸収が促進される。また、糖質コルチコイドは直接骨芽細胞の分化増殖を抑制し骨重量を減少させる。

6.中枢神経系に対する作用

糖質コルチコイドは認知機能や情動を修飾する作用がある。糖質コルチコイドの欠乏症では、味覚、聴覚、臭覚が亢進する。また無気力で抑うつ状態となる。過剰症では活動亢進や不眠、多幸感が出現するがその後抑うつ状態となることがある。痙攣閾値の低下も見られる。

7.甲状腺への作用

甲状腺ホルモンのうち活性度の低いT4から、活性度の高いT3に変換されるためには適度な量のコルチゾールが必要

8.その他

抗ショック作用など種々のストレス刺激に対する抵抗力を高める作用を持つ。

 

このように多くの作用を持つため分泌異常は様々な症状を呈します。

 

[過剰分泌]

①病気や感染症に対する抵抗力である免疫力の強弱に関る免疫細胞を作る臓器(胸腺)が収縮してしまうため、免疫細胞を作る働きが低下します。その結果、ウィルスや細菌の感染、皮膚の炎症、傷の治りが遅くなるなどの症状が出やすくなります。

②甲状腺ホルモンの分泌が低下し、食欲不振や食欲低下、平熱から比べて体温が低くなる低体温になります。その結果、体力が落ち病気への抵抗力も低下します。

③食物を消化分解したり、ウィルス、細菌の殺菌をする胃酸の生産と分泌を促進するホルモンであるガストリンの分泌を促進します。ストレスなどによってガストリンの分泌が促進されると、食物が胃の中に無い状態のときにも胃酸が慢性的に出るような状態が続き、結果として胃潰瘍を引き起こすことがあります。

④コルチゾールにはタンパク質をエネルギー源となるグルコースとグリコーゲンへの変換を促す働きがあります。コルチゾールの生産と分泌が慢性的に過剰になると、筋肉を構成しているタンパク質の分解が進みます。その結果、筋力の低下、筋肉疲労が起こります。

⑤脳内でのセロトニンやドーパミンといった神経伝達物質の合成を低下させます。その結果、ストレスへの抵抗性が低くなり、喜怒哀楽がはげしくなったり、うつ病を発症させる可能性もあります。

⑥食べたものの糖分はエネルギーとして使われるためにインスリンというホルモンの働きによって糖分を細胞へ取り込みますが、コルチゾールにはこのインスリンの働きを抑制し、血糖値を上昇させる働きがあります。コルチゾールの生産と分泌が慢性的に過剰になると、血糖が慢性的に高くなり糖尿病を引き起こす可能性が高くなります。

⑦コルチゾールは脂質なので血液脳関門を通過する。コルチゾールが長期的に分泌され続けると海馬へのダメージが起こり記憶や学習障害を引き起こす。

 

コルチゾールは体に対する作用が多岐にわたるため、分泌異常になるとこのように様々な問題が起こります。

これらはクッシング症候群や副腎疲労症候群で関連が深くなってきます。

 

 

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